The Sun also Rises.

主に海外ネタ、国際政治、中国語、英語、心理学/精神医学について書いていきます。

面白かったTED Talks (3)

(1)授業を甦らせる魔法の言葉

 

今回のTED Talksには、「なるほど」と頷いてしまいました。教師に最も必要なことは何かについてヒップホップするかのように熱く語っています。(聞き取るのに苦労しましたが(汗)

所要時間 6分54秒

クリス・エムディン: 教師に魔法を教えよう | Talk Video | TED.com

 

多くの教師は教育の理論や内容を重視しているのですが、授業が死んでしまっていることが多く、学生が教育に熱意が持てないのもそのような授業が原因なんだ と言っています。「死んだ」授業を甦らせる魔法の言葉はengage the audience、つまり学生を飲み込むような授業をすること。ラップコンサートでラッパーがどのような手振りや言葉を使って聴衆を盛り上げているのかメ モを取りながら観察したり、ブラックチャーチ(アフリカ系アメリカ人がよく行く教会)に言って牧師がどのような言葉や仕草をしているのか観察してみれば良 いだけだ、と。

教育に欠けているのは、"engage"なんだと聴衆を飲み込むように話していたのが印象的でした。

 

 

(2)折れない心

 

今回のTED Talksはジュリア・ロバーツ主演の映画『食べて、祈って、恋をして』の原作を書いた作家エリザベス・ギルバートさん。たとえ何度成功と失敗を繰り返したとしても折れない心はどこから来るのかについて語っています。

 

所要時間 7分18秒

エリザベス・ギルバート: 成功と失敗と創り続ける力について | Talk Video | TED.com



食べて、祈って、恋をして』の出版までに何度も小説を書き出版社に応募し続けても失敗続きだったそうです。その中で失敗しても「自分の帰るべき家」を持 つことが成功や失敗の中で自分の英気を養う場所になるので「自分の帰るべき家」、つまり自分自身が好き以上に好きなものを大切にしておくことが大切ですよ、と言ってます。彼女にとってそれが「小説を書くこと」だったそうです。

食べて、祈って、恋をして』で成功して自分の夢を叶えたギルバートさんですが、次に書く小説は『食べて、祈って、恋をして』のファンを失望させることに なるかもしれないが、さらに小説を書き続けていくと自信を込めて言っています。成功した時に感じる作家のプレッシャーは次回作ではせっかくファンになって くれた人を悲しませる結果になるんじゃないのかという不安がつきまとうようですね。その時にも「自分の帰るべき家」を持っているとその不安にも打ち勝てる らしいです。

自分にもそんな家を持ったほうが良いかな。

 

イモビライザー搭載の自動車は盗難されにくい。

このニューヨーク•タイムズの記事が面白かった。

Here’s Why Stealing Cars Went Out of Fashion

車盗難が時代遅れになったわけ

http://www.nytimes.com/2014/08/12/upshot/heres-why-stealing-cars-went-out-of-fashion.html?smid=fb-nytimes&WT.z_sma=UP_HWS_20140817&bicmp=AD&bicmlukp=WT.mc_id&bicmst=1388552400000&bicmet=1420088400000&_r=0&abt=0002&abg=0

 

ニューヨーク市で1990年には14700件の車盗難があり50人に1人盗難被害に遭っていたのが、 2013年には7700件で1100人に1人まで激減したそうです。特に90年代後半になり激減しました。その理由はイモビライザーを搭載した車の普及。 現在盗難される確率の高い「人気車種」は1997年以前のイモビライザーのついてないホンダアコード。1990年代のホンダのセダン、特にアコードが非常 に人気があり壊れない車で有名なので盗難されるとか。車を盗難する目的は部品取りが目的でアコードの部品が高く売れるようです。盗難する側としたら車が古 くなればなるほど部品が使えなくなるので盗難する価値がなくなってしまうのですが、まだそこまでに至っていない模様。

ニューヨーク市の条例で製造から8年以上で1250ドル以下の車なら所有権がなくても解体できるとしたことも大きいみたいです。裏を返せば8年以内であるなら解体できない。さらに、ニューヨーク市が所有権のない車を解体する解体業者にID確認をさせるよう徹底したことも盗難件数が激減した理由のようです。

カナダにいた時も市民の防犯意識が高くて車のステアリングホイールに器具を取り付けて動かないようにする人も結構いました。イモビライザーってすごいんですね!

面白かったTED Talks (2)

(1)革新的なことをしたいなら「ナウイスト」になろう

 

MITメディアラボのディレクターである伊藤穰一さんの「革新的なことをしたいなら「ナウイスト」になろう」は、非常に刺激的でベンチャー企業の最前線の様子がわかるTED Talksでした。

 

所要時間12分31秒。



 
タイトルにある「ナウイスト(nowist)」とは「フューチャリスト(futurist)」に対する対義語。

簡単に要約すると、インターネット以前(BI: Before the Internet)は起業してモノ を作るのに大資本と戦略や計画が必要で起業は誰にでもできるものではなかったのですが、インターネットの時代には必要な人材はネットで募集でき、かつてモ ノを作るのに多くの人手と工場が必要だったのが今では小さな設備だけで済む時代。一番重要なのは、コンバスがどこを向いているか(ミッションステイトメン ト)と「学ぶ」意欲があればどんなことでも可能ですよ、という内容でした。大切なのは未来を見据えるよりも「今が大切」という現在を見据えて行動すること だそうです。ベンチャービジネス向けの講演かなと思います。

 

このように最先端の現場のことが短いプレゼンに凝縮され、かつ非常に刺激的な内容で楽しめます。リスニングの訓練は退屈なテーマが多いのですが、 TED Talksのスピーチは最先端の現場で行われていることを観客を魅了するプレゼンの達人がスピーチするので聞いていて飲み込まれていくのがわかります。勉 強するなら楽しい方が良いので、TED Talksが無料で良いリスニング教材になると思います。

 

(2)「迷宮に迷い込んでいしまったらどう抜け出せば良いのか」

 

今回のTED Talksでは日常生活でよくある「迷宮」に迷い込んでしまった時にどうやって抜けだしたら良いのかということを科学の世界の実例を用いて説明してます。

 

所要時間 15分53秒

 


科学の世界では出発点Aから実験を行うことで正しい結果Bにたどり着きますが、その時の結果のみが求められプロセスが軽視される傾向があるそうです。しか し、実はそうじゃないんだと言っています。いくら実験をしても正しい結果が出ない時には「迷宮」に迷い込んでしまい気持ちが落ち込んでうつ気味になってし まうことがあるそうです。実はこの「迷宮」に迷い込むプロセスこそが重要で、「迷宮」 (TED Talksではクラウドと言っています)の中には正しい結果と未知の領域を分ける境界線があります。その境界線を越えて未知の領域に行けばアインシュタイ ンなど偉大な科学者が作り出したような未知に対する答えが見つかる、と。その答えに達するためには未知の領域との境界線を越える必要があります。その境界 線を越える方法が「Yes and」という魔法の言葉。「迷宮」に迷い込み答えが見つからず悩んでしまい視野狭窄になってしまっている時は、知人、友人に相談するのがベター。新しい 考えがあったらその考えに同意し(Yes)しその考えを使って自分の実験を新しい角度で見てみること(and)。言葉を代えて言うと相手がボケを言ったら ボケで返すみたいなことで視野が広くなり新しいインスピレーションが得られて「迷宮」から抜け出せます。

科学の世界に限らずあらゆることに使えそうです。悩みんでしまっている時は視野狭窄になってしまっているので、「Yes and」によって自分の視野を広げることで未知が開けるんだろうなと思いました。

 

 

英国流ユーモア

The EconomistやThe Telegraphなど英国メディアを目にすればするほど英国のユーモアがわかってきます。英国のユーモアはironyとsarcasmが基本にあり、そこに相手のユーモアがどの程度か試すために「いたずら」をしてくるのが英国人の気質のような気がします

英国人のユーモアを大学時代に思う存分経験し、最初に英国の本気のユーモアを経験したのが就職してから英国の銀行とやりとりをした時でした。ある海外の法人の財務状況を照会しようとした時に英国の銀行が送ってきたのは売上と「利益」としか書かれてない決算書だったんですね。本来、利益というのはあり得なくて経常利益とか税引前当期利益とか「利益」を具体的に書くはずなので、「利益」とはなんですか?と銀行に聞いてみたら、「いやいや、そんなつもりはなかったんです。数字を大きく見せたかっただけなんですよ。もっと経営状況をお見せ出来ますので一度英国までお越しください。」という返答だったです。

つまり「利益」という言葉で相手が会計ができる人かどうかを試していたようなんですね。こんなことが英国の新聞記事や英国人との会話によくあるんです!真面目な話をずっとして最後にボケる。そのボケが理解できるかどうかがユーモアのわかる人という位置づけのようですね。英国人の言うことには、いたずらがふんだんに隠されているので、真に受けないようにした方が良いですよ(^O^)/ 何を言っているんだと思ったらボケにはYes andのようにボケにはボケで返すと英国人と仲良くなれます\(^o^)/

面白かったTED Talks (1)

(1)「なぜ過去に自分が決断したことを後で悔やんでしまうのか」

 

このTED Talksも興味深かったです。今回は「なぜ過去に自分が決断したことを後で悔やんでしまうのか」というテーマを心理学の視点で約7分に凝縮して説明しています。

所要時間6分50秒。

 

(映像を観るためには右端にあるDownloadをクリックして字幕を日本語にセッティングするとスムーズに観られます。)

 

ダン・ギルバート: 未来の自分に対する心理 | Talk Video | TED.com


自分が若い時に決め、実際将来その通りになったにもかかわらず過去の自分の決断を悔やんでしまうのは時間が鍵になっているそうです。時間の経過とともに自 分の価値観、好き嫌い、性格も同時に変わっていってしまうので過去の自分の下した決断に悔やんでしまう、と。過去の自分の決断は「その時」の自分が決めたことであり、そこから時間が経過するとともに「自分」も変わってしまう。過去のことは覚えているが、未来を予測することは非常に難しい。

このTED Talksを見て、何か大きな決断をする時はある程度年数が経った時点で自分の決断や計画を見直し修正していく必要があるのかもしれないなと感慨深く思ってしまいました。やはりミッションステイトメント自体の見直しも必要ということかな。

 

(2)「なぜ優れたリーダーの下には自ら貢献しようとする人が集まるのか」

 

今回のTED Talksも非常に興味深かったです。今回は「なぜ優れたリーダーの下には自ら貢献しようとする人が集まるのか」というテーマでした。

 

所要時間 11分59秒。

 

サイモン・シネック: なぜ優れたリーダーの元では安心を感じられるのか | Talk Video | TED.com


プレゼンが非常に上手く聞いていてぐいぐい飲み込まれていったスピーチで、話し手が自分の理想とす るリーダー像を熱く語る姿が印象的でした。ドラッカーの思い描く理想的なリーダー像、あるいはかつての日本企業の経営方針に酷似しているようにも感じられ ました。現在のアメリカでは終身雇用が見直されつつあり、日本ではアメリカ型経営が全盛期。皮肉ですね。

内容は、人が組織に貢献して働くのは報酬があるからではなく、リーダーが自分を犠牲にして安心感を与えるからで、そのリーダーの決断に人は組織を信頼し自ら貢献しようと行動するようになるというものでした。原始時代、脅威に満ち溢れた外的環境に備えるために信頼と協力に基づき社会を構成した。それは現代でも同じで、外的環境が景 気変動や技術革新による既存技術の陳腐化などに変わっただけで組織で身を守ることについては原始時代と同じことが言える。その組織をマネジメントするため にはリーダーが必要。グループの安全と生活を守ることを優先するリーダーには従業員が組織を信頼し自ら貢献するようになる、と。偉大なリーダは従業員を犠 牲にして利益をあげようとはしない。多くの経営者は「リーダー」ではなく命令するだけの「権威」に成り下がっている。リーダーが従業員のために犠牲を払え ば、従業員もその犠牲に応えてくれる。皆さんもそんな会社で働きたいですよね、と締めくくられていました。

TED Talksを使った英語リスニング力向上トレーニング

通訳案内士には免除科目がいろいろあり英語筆記試験に関してはTOEIC840点以上を取得していれば英語筆記試験が免除されるのですが、それには条件があります。TOEIC試験は大学など教育機関で行われるInstitutional Program(以下IP試験)ではなくTOEIC運営事務局が主催する公式の試験でなければ免除科目に使えないんですね。大学時代にTOEIC925点を取得したのですが、大学生協主催のIP試験だったので無効になってしまいました。履歴書には書けるのですが、悔しい。ぜひとも通訳案内士の免許を取得したいので、もう一度TOEICを受験し900点以上を取りたいと思っています。

 

自分の弱点はリスニングなのでリスニング力を強化するためにどのようなトレーニング法があるのか模索した結果、TED Talksを毎日1回聴き要約を書くことでリスニング力が鍛えられるはずだという仮説を立ててみました。実際に上手く行くかどうかはTOEICで900点以上取れるかどうかにかかっています。

 

TED Talksとはインターネット上で18分以下のプレゼンを世界に発信し、考え方、人生、最終的には世界までも変えることを目的に設立されたNPO団体です。世界中の著名人から一般人まで平等に18分間の時間が与えられプレゼンを行っています。すべて無料で視聴できます。

 

TED Talks https://www.ted.com/talks/browse?language=ja

 

TED Talksには英語、日本語を含むあらゆる言語の字幕とスクリプトがついているので英語学習に非常に役に立ちます。スピーチの長さも18分以内で、中には7分ほどのプレゼンもあるのでTOEICや英検のリスニング対策にも向いていると思います。実際にスピーチを2本聴きました。最初に聴いたスピーチはMITメディアラボのディレクターである伊藤穰一さんの「革新的なことをしたいなら「ナウイスト」になろう」でした。

 

伊藤穰一 「革新的なことをしたいなら「ナウイスト」になろう」

https://www.ted.com/talks/joi_ito_want_to_innovate_become_a_now_ist?language=ja

 

最初に字幕なしで1回聴き、確認のためにもう一度見て、3回目は英語字幕をつけて見ました。(映像を観るためには右端にあるDownloadをクリックして字幕を日本語にセッティングするとスムーズに観られます。)所要時間12分31秒。

タイトルにある「ナウイスト(nowist)」とは「フューチャリスト(futurist)」に対する対義語。

簡単に要約すると、インターネット以前(BI: Before the Internet)は起業してモノ を作るのに大資本と戦略や計画が必要で起業は誰にでもできるものではなかったのですが、インターネットの時代には必要な人材はネットで募集でき、かつてモ ノを作るのに多くの人手と工場が必要だったのが今では小さな設備だけで済む時代。一番重要なのは、コンバスがどこを向いているか(ミッションステイトメン ト)と「学ぶ」意欲があればどんなことでも可能ですよ、という内容でした。大切なのは未来を見据えるよりも「今が大切」という現在を見据えて行動すること だそうです。ベンチャービジネス向けの講演かなと思います。

 

このように最先端の現場のことが短いプレゼンに凝縮され、かつ非常に刺激的な内容で楽しめます。リスニングの訓練は退屈なテーマが多いのですが、観客を魅了するプレゼンの達人がTED Talksのスピーチは最先端の現場で行われていることをスピーチするので聞いていて飲み込まれていくのがわかります。勉強するなら楽しい方が良いので、TED Talksが無料で良いリスニング教材になると思います。

 

TOEIC900点以上を取るぞ!

 

【書評】これを見ればドラッカーが60分で分かるDVD

『これを見ればドラッカーが60分で分かる』の中でドラッカーの言葉に引っかかりいろいろ考えてみました。「グローバリゼーションは経済現象ではなく心理現象」は深い意味がありそうです。

インド市場で石鹸を売ろうとした石鹸メーカーがおそらくこの言葉を説明するのに良い例だと思います。インドは途方もない強大な市場なのですが、多くのインド人は石鹸を使う習慣がないので石鹸の市場が非常に小さかったそうです。そこで石鹸メーカーはインド人に石鹸と下痢の関係性を示す公衆衛生教育を大々的に展開したそうです。公衆衛生の重要性が人々に浸透することで強大な市場が生まれた(多分)とのこと。つまり需要と供給という経済現象でグローバリズムが決まるのではなく公衆衛生という価値観が認識されて初めて市場が生まれるということなんでしょうか。

人口が多い国は市場的にポテンシャルが途方もないのですが、心理現象として先進国の価値観が共有されていないので市場にはならないのかなと思います。市場を作るには先進国の文化を広める必要があるのかもしれません。中国、インド、アフリカ、アラブは巨大な市場なのですが文化的に欧米化していない面が多々あるので、もしかしたらあらゆる紛争は「市場化」するためのある意味かつての植民地化プロセスと同じなのかもしれませんね。ちょっと陰謀論めいてますが。さて、どうなんでしょうか。

 

これを見ればドラッカーが60分で分かるDVD

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