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リパート駐韓米大使襲撃事件のまとめ

NYタイムズ紙のMark Lippert, U.S. Ambassador to South Korea, Is Hospitalized After Attack(マーク・リパート駐韓米大使、襲撃後に入院)によれば、駐韓米大使マーク・リパートは木曜日、ソウルで開催された朝食会で、米韓合同演習に抗議する男に襲われた。刃わたり10センチから25センチの刃物で斬りつけられ、米大使は右の顔に10センチにも及ぶ切り傷を負い、80針の大怪我。犯人は米韓合同演習が韓国と北朝鮮の南北統一を妨害すると主張。

 

NYタイムズ紙:Mark Lippert, U.S. Ambassador to South Korea, Is Hospitalized After Attack(マーク・リパート駐韓米大使、襲撃後に入院)

http://www.nytimes.com/2015/03/05/world/asia/us-ambassador-to-south-korea-hospitalized-after-attack.html


問題となっているのは、なぜ刃渡り25センチものナイフを隠し持った犯人が要人中の要人に近づけたのかということです。米大使の警備は、日本国内では警備の不備を理由にここぞとばかりに韓国叩きが巻き起こりそうな機運ですが、NYタイムズを読んでいくと次のような説明がされています。

 

 

After an urgent meeting of vice ministers, the South Korean government on Thursday vowed a “stern punishment” for officials who failed to protect Mr. Lippert. But Mr. Yoon said the police did not check the people entering the breakfast meeting because the embassy did not request it. “We had received no request from the embassy for bodyguard service,” he told reporters.

He added that the police had taken their own security measure in deploying 28 officers around the restaurant. Some of those officers joined participants of the breakfast meeting in subduing the attacker, Mr. Yoon said.

(訳)副大臣との緊急会見後に韓国政府は木曜、ルパート米大使を警護できなかった警備責任者を厳しく処罰すると発表した。しかし、(ソウル中心部のジョンノ警察署の)ヨン署長によれば、米大使館の要請で警察は朝食会に参加する人のセキュリティチェックは行わなかった。「我々は米大使館から要人警護の要請を受けていなかった」とヨン所長は報道陣に説明した。

ヨン所長は続けて警察は独自のセキュリティ措置を取り28人の警察官をレストラン周辺に配置していたと説明。数人の警察官は朝食会の参加者が犯人を取り押さえるのに加わった釈明。

 

日本における報道は少し違って、NHKの韓国駐在の米大使襲われ大けが 警備に問題の指摘が日本を取り巻く米国報道の「空気」を如実に表わしている。

 

 

警察によりますと、会場周辺では機動隊員などおよそ30人が警備に当たっていましたが、主な目的はデモなどの警戒で、会場に入る人たちの所持品は検査していませんでした。

講演会の出席者は、男が近くにいた人たちに取り押さえられたあとも、警察官はしばらく来なかったと証言しており、警備態勢に問題があったという指摘が出ています。
このため、韓国政府は、各国の外交使節に対する警備を強化するなど対策を急いでいます。

リパート大使は、大使公邸から大使館まで歩いて出勤するなど、韓国の一般の人たちと気軽に触れ合うことで知られていました。

 

犯人は米大使を殺害する意志は否定しているものの、日本でかつて起きた生麦事件のようでもあり、韓国にも不穏な空気が流れているのは同じなんだなと思ってしまいました。日本でも類似の事件が起きないことを祈っています。